フィアット500Cデュアロジック修理
「調子は良いです」とのコメントを信じ、某ネットオークションにて購入されたという500C。
いざ届いてみると、ギア抜けが頻発しまともに乗ることができないとのことで、他の部分の点検も含め弊社に入庫。
遠方の為、陸送会社にて500Cが届いたので、工場内に入れようと動かしたところ・・・、
突然のデュアロジックオイルがジャジャ漏れ。
確認すると、ポテンショメータ付近より漏れている様です。
デュアロジックは2階建て構造になっており、デュアロジックオイルは2階部分に入っています。ポテンショメータは1階部分に付いています。
簡単に言うと・・・、2階の床が抜けてオイルが1階に流れ込み、1階の弱い所から外部に漏れてしまった様です。
(程度の大小はありますが、ポテンショメータ付近からの漏れは比較的良くある症状です。軽微な漏れは、漏れ止め添加剤で止まることが多いです)
また、ギアが入る瞬間も「ガリッ!」と嫌な音がしていた為、オイルを補充しデュアロジックのキャリブレーションとクラッチの調整を行ってみるもエラーが出てしまい実行できない状況。
診断機で各数値を確認してみると、クラッチが切れている状態にもかかわらずミッションのシャフト(Clutch RPM)が回ってしまっています。実際はクラッチが完全に切れていない様です。
クラッチ各部の数値も少しおかしい様です。
下の動画は、「N」→「R」→「N」とシフトしています。
「N」ではクラッチが切れているにもかかわらず、ミッションインプットシャフト(Clutch RPM)が回転しています(なんらかの原因によりクラッチが完全に切れていない)。 その為、ギアが入る瞬間に大きな異音が出ています。
(ギアが入るとタイヤは地面に着地している為、0RPMになっていますが、クラッチが切れきれていない為、車は進みたがっています)
ちなみに正常な車両はこのような感じです。
「N」→「R」→「N」とシフトしています。
完全にクラッチが切れているので、ニュートラルでもギアが入ってもミッションのシャフトは0RPMです。
オイル漏れを修理できないことは無いのですが、コストなどを考慮するとあまり現実的では無い為、偶然タイミングよく見つけることができた程度の良さそうな中古のデュアロジック(しかも対策済みの新しいデュアロジック)をベースに、不具合が出やすい持病箇所の部品を交換して載せ替えることに。(中古を使用する際はタイミングと当たりはずれが有ります)
メンテナンス履歴が不明の為、タイミングベルトとウォーターポンプも確認します。
ウォーターポンプは漏れが有る様です。
タイミングベルトは交換履歴が有る様で、ヒビ割れが酷いという程ではありませんでしたが、タイミングベルトを張っているテンショナーが全く張られておらず、タイミングベルトがダルダルゆるゆるの状態でした。コマ飛びはしていない様子でしたので一安心。
今回のデュアロジック不調及びクラッチ切れ不良の原因の一つがこの部品です。
プッシュロッドの当たり部が摩耗してしまい4mmほど穴が深くなっていました。
デュアロジックは頑張ってこの部品を押して仕事を遂行していたようですが、実際のクラッチ内部は4mm少ない所までしか動いていなかったようです。
気になる部分全てを修理し絶好調になりました。
深夜バスなどを乗り継ぎ車を取りに来られ、片道約550kmを自走でお帰りになられ、全く不安なく絶好調でしたとご報告いただきました。
遠方よりお越しいただきありがとうございました。